大賞作品 加藤力

大賞作品 加藤力

ドローイングとは何か

「ドローイング」とは本来、絵の具で面を塗る「peinture」とは対照的な画法で線画、線描画を意味しますが、日本の現代美術界においては紙に描いた習作や下絵をドローイングと称することがあります。
美術評論家・金澤毅氏は、ドローイングを完成された線描画として、それらと一線を画されなければならないとして「ドローイングとは何か」展開催実行委員会を立ち上げました。
本委員会は、優れたドローイング作品を見出し、国際基準に見合ったドローイング展を開催することを目的とします。

第3回展審査の様子(審査員:金澤毅、中林忠良、名古屋覚の各氏)
「ドローイングとは何か」展開催にあたって
「ドローイングとは何か」展 開催実行委員会代表
金澤 毅(美術評論家)
多くのアメリカの美術館にはジャンル別の専門部署と専属キュレーターがいるが、その中に版画、ドローイング、写真といった部門があって、絵画や彫刻と一線を画している。わが国の美術界には過渡的な形で写生やデッサンは存在したが、ドローイングという表現領域はなかった。今日言葉だけが一人歩きして、紙の上に描かれたものをみなドローイングと呼んでいるようだが、これはどうも日本だけの現象である。因みに「ドロー」(Draw)というのは、「引っ張る」「線を引く」という意味で、「ドローイング」と呼ばれる表現は普通「線描画」と訳され、鉛筆、コンテ、ペンなどで描かれた線の集積による絵画のことである。世界には、「版画とドローイング」の国際コンペもあって、この方面の芸術活動は活発である。 西欧では15世紀末に活躍したドイツのデューラーを始め、数多くの銅版画家が見事な線描の極地を見せており、美術を志すものはみな鉛筆やペンだけで豊かな絵画世界を作り上げたものである。一方型染めや木版画の伝統技法を背景に独自の進展を遂げた版画王国日本に、なぜ版画と密接な関わりを持って育ってきたドローイングが根付かなかったのか不思議でならないが、今からでも遅くないと今回の企画を立ち上げた。