大賞作品 長谷川美恵子

大賞作品 長谷川美恵子
図版:第10回展大賞受賞作品 長谷川美恵子「寂 尾去沢鉱山跡」(部分)

2018年7月13日金曜日

第7回「ドローイングとは何か」展 受賞作品決定!

 第7回「ドローイングとは何か」展の募集におきましてはたくさんのご応募ありがとうございました。第7回展の募集は2018年7月3日(水)にて〆切らせて頂きました。
 2010年に始まった「ドローイングとは何か」展は、ドローイングという表現領域の新たな可能性を探り、優れたドローイング作品を見出すことを目的とした全国公募展です。
 今回は応募者数81名、作品数157点の中から厳選なる審査の結果、入賞者3名、入選者14名、合計1717作品が選出されました。
 審査会は、一次と二次に分けて行われ、76日(水)に一次審査が銀座3丁目の日本美術家会館にて、7月12日(木)に第二次審査が銀座6丁目のギャルリー志門にて行われました。
なお、入賞・入選作品は2018820日(月)-91日(土)銀座6丁目ギャルリー志門にて展示されます。

【審査員】
金澤 毅(美術評論家)
中林忠良(版画家)
本江邦夫(多摩美術大学教授・美術評論家)

受賞作品は下記の通りです。

【大賞】
大島 愛  「Students(浸潤)」   木炭紙・木炭 1000×655
 
<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは>
私は主に、身近な人達をモデルに人の顔を描いています。その人を描こうと思うのは、その人の考えが私の予想を軽々と越えていった時です。その人の寛大さや熱意や面白さに、大げさですが、「こんな人がいるのなら人類はまだ大丈夫だなぁ」と密かに希望を感じるのです。私はそんなヒトへのささやかな希望を形として残してみたいと思って制作しているのかもしれません。
 私は一般的にはドローイングとされる木炭の絵を、タブローとしてよく展示します。素材や形態が何であれ、大事なのはその作品が生き生きとした何かを失わずにいられたかどうかであり、いかに気負わずに、正直さを失わずに、自分が感じた魅力的なものを造形として出せるかを大切にしています。

<大島愛・略歴> 
1986 広島県生れ 岡山県出身
2008 尾道市立大学芸術文化学部美術学科油画コース卒業
2010 尾道市立大学大学院美術研究科美術専攻絵画研究分野修了
2018 広島市立大学芸術学部美術学研究科博士前期課程 映像メディア研究室修了

個展
2012 「感情の交換」(Gallery K/東京)

グループ展
2012 「Experssion -おももちー」(光明寺会館/広島尾道)
2012 「東広島市現代美術館プログラム2012 宇山DNA」(広島、東広島)
2014 「日本コラージュ2014」(Gallery K/東京)
2014 「uni  尾道市立大学油画卒業生による作品展」(尾道市立大学美術館/広島)
2015 「ひと・ヒト・人・ひとり というグループ展」(Gallery K/東京)
2016 「ゲンビどこでも企画公募 2016展」(広島現代美術館/広島)
2017 「風はなにいろですか」(Gallery K/東京)
2017 「ことの葉と空と」(Gallery K/東京)
2017 「第4回宮本三郎記念デッサン大賞展」(小松市宮本三郎美術館/石川県小松市、世田谷美術館分館/東京 )
2018 「FACE2018展損保ジャパン日本興亜美術賞展」(東郷青児記念損保ジャパン日本興亜火災美術館/東京)
2018 「風はなにいろですか」(Gallery K/東京)

受賞歴
2016 ゲンビどこでも企画公募 2016  入選
2017 第4回宮本三郎記念デッサン大賞展  優秀賞
2018 FACE2018展損保ジャパン日本興亜美術賞  入選

≪収蔵≫
小松市立宮本三郎美術館






【準大賞】
磯崎式子  「形と花アシダンセラ」   アルシュ紙・鉛筆 740×540 


<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは>
 形に光が当たり、印象的に変化する姿に惹かれます。陰影や影が生まれ、存在が鮮やかにこちらに迫ってきます。
自身で形を作りそれを見つめ、鉛筆で描いてきました。何度も何度も線を重ね、細部を追求することによって世界が明るく輝くまで。光・形・陰影のある静謐な空間を、一本一本の線の集積で表現することが私のドローイングです。

<磯崎式子・略歴>
1950 富山県生まれ
1972 女子美術大学 芸術学部芸術学科造形学専攻 卒業
               
グループ展
2011 美術の祭典東京展(東京都美術館)(~‘17まで)
2014 環太平洋展(黒竜江省美術館 、中国ほか)(~‘16まで)
2015  マリンバと絵画のコラボレーション(東京文化会館ほか)(~‘16まで)
2015  一陽展(国立新美術館、東京)(以降毎年)、一陽会東京展(東京都美術館)(以降毎年)
他 多数


賞歴     
2012    38回 美術の祭典東京展 優秀賞
2015    14回 環太平洋展 カナダ国際文化交流協会賞
         第19回 一陽会東京展 東京一陽賞
         第61回 一陽展 特待賞
2017    63回一陽展  一陽賞




【準大賞】
清野和正  「まつろわぬもの9」  紙・鉛筆・コンテ・木炭 650500


<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは> 
  モチーフは人の頭骨を用い、その存在を描きました。
 目の前のモチーフをじっと見つめていると、その質感、形、決して人が創り出し得ない命と自然の神秘に気付かされます。同時に人の生の儚さ、嘘や欺瞞、陰湿な暴力や抑圧に満ち溢れたこの世界を生き抜く虚しさが押し寄せる。しかし、限りある生を実りある確かなものにしていく為に、命と自然その素晴らしさと儚さをあるがままの姿を通して広く伝えていきたい。そう願って日々描写を続け、制作しました。

<清野和正・略歴>
1979  東京都生まれ
2006  多摩美術大学造形表現学部造形学科油画専攻卒業
 
グループ展
2016  第2回ホキ美術館大賞展(千葉)('17)
2017  第91回国展絵画部企画展示(国立新美術館、東京)



【入選】
1. 朝日宣弘「タッチ・ミー/Touch Me
2. 安藤和丸「激甚形成
3. 安藤ニキ「散華(さんげ)1
4. 石井武志「結晶」
5. 泉 里歩「天を」
6. 江波戸裕太「カコ吸」
7. 岡崎莉望「イチゴ・エ」
8. 小倉孝夫「終わりの始まり」
9  梶谷令「存在を巡る物語「瞬き)」
10. 菅 和彦「いつかやむ雨」
11. 鶴見厚子「気配」
12. 藤山麻美「光と闇No.3
13. 丸山浩司「field  of  the  heat 18-6」
14. 三宅玄朗「伝説の男」




7回「ドローイングとは何か」入賞・入選作品展
会 期:2018820日(月)~91日(土)日休
授賞式:2018825日(土)1500
レセプション:2018825日(土)1600
時 間:11001900(最終日1700
場所:ギャルリー志門
住所:東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル3F 
電話:03-3541-2511 
入場無料





<審査報告>
今回の応募人数は81人、作品157点。例年より少なかったが、「ドローイングとは何か」という問いかけに応える力作が揃い、審査員の議論も熱気を帯びた。

■  1次審査は写真画像による審査で、4回に分けて審査を行った。(投票式)
 
●第1次:審査員1名以上の投票があったものを残した。157点のうち選外は64点、93点が残った。93点のうち審査員全員一致で投票があったものは7点。この7作品は審査通過とした。(157→93点、内7点は審査通過。93→86点) 

●第2次
86点の中からさらに1名以上の投票があったものを残した。選外は45点、41点が残った。(86→41点) 

●第3次
41点のうち、6名の作品が各2点含まれていたため、審査員はこの12点について協議し、各1点に絞り、35点が残った。(41→35点)

●第4次
2名以上の推薦により審査通過とし10点が残った。(35→10点)


7
点+10点=17点が審査通過入選とした。


2次審査 実物の17点を並べて審査員の間で議論を交わし、大賞1名、準大賞2名、合計3名の作品を選出した。



審査風景
 
<事務局から>
7回「ドローイングとは何か」展の募集におきましてはたくさんのご応募ありがとうございました。
今回は鉛筆やペン、木炭のような従来の素材に加え、漆喰いや銅版によるめずらしいドローイングもエントリーされました。どの作品も甲乙つけがたい優れた作品で、先生方のそれぞれのご意見がぶつかり合い、作品の選出は二転三転しました。惜しくも入選に至らなかった作品の中には画廊で取り上げさせて頂きたい魅力的な作品が数点ありました。本当にすばらしいもので、実物に出会う機会があればぜひ拝見させて頂きたいと思っています。どうぞここであきらめることなく前進して次回に挑戦していただければ嬉しく思います。入選作品につきましては審査員の先生方も大変苦慮した上での決定であることを申し添えておきます。 (深井美子)