【審査員】
金澤 毅(美術評論家)
中林忠良(版画家)
瀬尾典昭(松涛美術館学芸係主査、現:長野県信濃美術館学芸課研究主査)
入選者16名の中から選ばれた、授賞作品は下記の通りです。
【大賞】
●成田玄治「あの日の海B」クロスユポ裏張り、シャープペン2B 91.0×72.7cm
<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは>
私の作品は『時間をかけて制作した、小さな丸の集積による作品。ドローイング作品として、出品していいのか迷いました。東日本大震災から5年、改めて震災で、犠牲になられた人々への、鎮魂の思いを、小さな、丸に込め制作。目に見える復興だけでなく、被災した人々の心の復興をも願いながら。
略歴
1948年岩手県生
1966年釜石北高等学校卒業
[個展]
2008年ギャラリーBun(岩手)(’13)
2011年けやきラウンジ(岩手)
2014年ギャラリーヒロ(岩手)
2014年アートスペースムーニ(岩手)
2014年岩手県予防医学協会ギャラリー(岩手)(’15)
2015年宮古市民文化会館(岩手)
[賞歴]
2002・2004・2006年岩手芸術祭洋画部門芸術祭賞
2008年岩手芸術祭デザイン部門芸術祭賞
2006・2007・2008年新象展奨励賞
2008年新象展損保ジャパン奨励賞
2012年第55回新象展記念展賞
【準大賞】
●山村まゆ子「はばたき以前」紙にインク 91.6×73.6cm
<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは>
何かを表現する時、言葉ではズレると感じていた。自分の中にあるものを吐き出そうとする時、言葉や文字では正確に形にできなくて、歪んでズレてしまう違和感。人と人とが交流するのに共通の言語を介する事は有効で必要な事だと理解しつつも、心を表現する言葉をうまく見つけられない私には、無理矢理言葉に置き換えるのは妥協のようになる。うわっつらの文字の羅列。正確に吐き出せていないのだから正確に伝わる筈もない。言葉を用いて何かを伝えようとする事にストレスを感じる。絵は、自分の内部を出力する方法として一番ズレが少ない。過不足なく違和感なく表現できた時にはとてもすっきりする。ただ、正確に吐き出す事ができたとしても、それが伝わるかどうかはまた別の問題だ。言葉なら正確でなくてもある程度のことを伝える事ができるが、絵は、正確に吐き出す事はできるのにそれが伝わるとは限らない。一長一短だが、私は絵を選んだ。
略歴
1979年 神奈川県生
2001年 創形美術学校絵画造形課程卒業
2002年 創形美術学校研究科修了
[個展]
2002年 ギャラリーイセヨシ(東京)
2003年 小野画廊Ⅱ(東京)
2004、2006年 アートギャラリー環(東京)
2005年 デザインフェスタギャラリー(東京)
2007年 青樺画廊(東京)
2008、2010年 アートスペース88(東京)
2008年 小野画廊京橋(東京)
2011年 アートギャラリー銀座(東京)
[グループ展]
2002年 上野の森美術館大賞展(上野の森美術館)
2005年 環展「人物ランド2005」(アートギャラリー環、東京)
2007年 山村まゆ子・中島奈津子二人展(ガレリアプント、東京)
2009年 幻想芸術展-巴里-(フランス)
2012年 アーティクル賞入選者展覧会(ターナーギャラリー、東京)
2013年、2015年 「ドローイングとは何か」入賞入選作品展(ギャルリー志門、東京)
2013年 宮本三郎記念デッサン大賞展「明日の表現を拓く」
(小松市立宮本三郎美術館・世田谷美術館分館)
2014年 神戸アートマルシェ(神戸メリケンパークオリエンタルホテル、兵庫)
[賞歴]
2001年 エプソンカラーイメージングコンテスト2001(エプソン賞)
【準大賞】
●吉浦眞琴「透明なからだ」ハーネミューレにインク 91×72cm
●吉浦眞琴「透明なからだ」ハーネミューレにインク 91×72cm
<制作意図・またはあなたにとってドローイングとは>
衣服という器に注がれている身体。体がなくなる時、衣服(器)は、なくならずにそのまま残る。故人の残した器や、私の体を形づくる器をモチーフにしている。器は、長い年月、時間の中で形を変え、透明になってしまった身体や、変化し続ける体の形、個人の形を浮彫りにする。外側の形の線を引くことで、形にするだけではなく、内側にあったものの形をかたどるように表したいと考えている。頭の中だけでは、堂々巡りしてしまう考えや気持ちを、手を使い線を引くことで可視化し、観察し、思考する。何度も何度も繰り返すことでより明確に本質を探ることをドローイングの中でしたいと思っている。
略歴
1994年 神奈川県生
略歴
1994年 神奈川県生
2013年 京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース入学
2014年 同大学 油画コースへ転コース 在学中
【グループ展】
2014年 Hi,my name is…(食堂ルインズ、京都)
2015年 京都造形芸術大学二年生グループ展SPAN (MEDIASHOP、京都)
【入選】
1.朝日宣弘「インサイダー」
2.安藤和丸「流動」
3.安藤ニキ「火宅の花1」
4.大家泰仁「時を同じくして異なる場所Ⅴ」
5.岡崎莉望「誰でもない誰か」
6.梶谷令「私は何も知らない」
7.Colimo(コリモ)「倣廻(ほうかい)」
8.近藤沙桜里「地景‐廻り・Ⅱ∸」
9.鈴木泰人「木々」
10.高津好孝「サクラ」
11.鶴見厚子「夢見る人2」
12.フジタユウコ「よるのグル―2」
13.安河内裕也「振動眼球―自然抱擁―」
■第6回「ドローイングとは何か」入賞・入選作品展スケジュール
会 期:2016年6月13日(月)~6月25日(土)日休
時 間:11:00~19:00(最終日17:00)
授賞式:2016年6月13日(月)17:00~
懇親会:2016年6月13日(月)18:00~
<事務局から>
第6回「ドローイングとは何か」展の募集におきましてはたくさんのご応募ありがとうございました。今回は松涛美術館学芸員の瀬尾典昭氏が新たに審査員として加わり、新たなるドローイングの可能性を広げて行きました。208点中、最初に3人の審査員の先生方の意見が3人とも一致したのは6点。あとは何度か採点を繰り返して44点、さらに22点…。最後の入選者10点を決めるのに喧々諤々。どの作品も甲乙つけがたい優れた作品でした。入選⇔落選の差は技術的には全く差はありません。運としか言いようがありません。入選に至らなかった作品の中にはギャラリーで取り上げさせて頂きたい魅力的な作品が何点かありました。どうぞここであきらめることなく前進して次回に挑戦していただきたいと思います。入選作品につきましては審査員の先生方も大変苦慮した上での決定であることを申し添えておきます。